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68 ドライブについて

 最近、若者の車離れが著しいという。
 理由のひとつは、今の社会が若者に厳しいという点にあるだろう。派遣、期間雇用などの非正規労働者の問題が若者にはあるが、平たく言うと労働者として若者が安く買い叩かれているということである。寂しい懐では車など買う気にもなるまい。
 端的に言えば、老人は(予備軍の僕も含めて)もっと若者に投資をしなければならない。彼らは老人世代(しつこいようだが、予備軍の僕も含む)を年金制度等で支えてくれる存在だ。安価な単純労働力などと掃いて捨ててしまうような真似は、自ら我が首を絞めるのに等しい。やっていることは、まさしく将来実りをもたらす若芽を摘まんで食べてしまっているのと同じなのだ。雇用を確保し、給料を安定させ、根気よく育てて、生産性のある社会人に育てることが必要なのだろう。もちろんその財源は老人へ掛かる費用だ。若者を大事にする反作用として、老人世代が多少割を食っても構わない。老兵はただ消えゆくのみである。
 もっとも、そうすることで若者がまた車に乗るようになるかというと、どうもそうともいえないようだ。
 というのも、最近、若い人たちが運転免許を持っていないケースに、しばしば遭遇するからだ。
 もちろん、免許を持っていないことそれ自体には何の問題もない。それは単なる選択の問題である。免許を持たなくても都会では生きていけるし、身分を証明するためには住基カードを作ればいいのだ。そして、どうもお金がないといったような話でもないようだ。当の本人に話を聞いてみると「必要性を感じない」「自転車で十分」という、金銭的問題とは別の理由が出てくるからである。
 若い時分、喉から手が出るほど車が欲しかった僕からすると、ああ、世代意識は大きく変わったのだなあと、まさしく「俺も年取った」という黄昏た単語が口をついて出てしまう。
 というわけで、話を戻すが、僕はドライブが好きだ。
 見晴らしのいい高速道路を飛ばすのも好きだし(もちろん制限速度は守ります)、首都高の込み入った道路も好きだ。下道をたらたらと時間を掛けて走るのも、なかなか楽しい。
 最近のお気に入りは、橋だ。今僕が住んでいる場所の近くには大きな橋が掛っていて、天気のいい日にここを渡るのはなかなか爽快感がある。
 いずれにせよ、休日はだいたい、どこかしらに遊びに行くので、その道中はドライブとなる。
 おかげさまで先日、車の走行距離が無事13万キロを超えた。
 地球を3周回ってもお釣りがくる。我ながらよく走ったものだが、そもそもそれだけ走っても壊れない日本車は本当に頑丈だ。
 何といってもメイドインジャパンのブランドは信頼感がある。別に外車に乗ってステイタス感を誇示しようという欲求もないし、次に車を買い替える際にも、もちろん日本車にすると決めている。

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