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53 異動について


 もうすぐ異動である。
 僕は転勤族なので、異動するということは基本、引っ越しをすることと同値だ。
 4年前までは千葉にいた。2年前は青森にいた。今は富山にいるが、4月でまたどこかに引っ越す予定だ。行先はわからない。直前にならないと人事の連中が教えてくれないからだ。
 しかし、引っ越しも何度か繰り返していると、だんだんと要領がわかってくる。
 何よりも必要なのは断捨離だ。引っ越し慣れしていないと、捨てられなかったり、あるいは捨てすぎてしまったり、ということがあるかもしれないが、引っ越し慣れしているとだいたい断捨離は上手くいく。前回の引っ越しから一度も手を付けなかった物品は捨てていいと判断できるからだ。
 ちなみに、捨てられるものの中には「売れる」ものがある。特に本の類はよく売れる。家具や家電製品も、リサイクルショップが意外な高値で買ってくれることがあるから、下手に粗大ごみにするよりは、とりあえず店に持って行ってみることをお勧めする。
 それにしても、引っ越し業者にはいつも感心させられる。
 例えば、梱包の手際のよさだ。もし僕がやったとすれば小一時間はかかるだろうソファーの梱包も、ものの五分で完了する。運搬も手際がいい。山ほどあった家具を、たった四人でてきぱきとトラックに搬入し終えるのをみたときは、どんな世界にもプロはいるものなのだと心から感動した。
 話しを元に戻すが、当面の問題は、僕が次にどこに行くか、だ。
 候補はいろいろとある。北海道か、新潟か、栃木か、長野か、静岡か、愛知か、大阪か、兵庫か、それ以外かもしれない。
 結論から言えば、どこでも構わない。行ったら行ったで、その土地の楽しいことがいくつもあるのを、もうよく知っているからだ。千葉でも、青森でも、富山でも、心から楽しんだ。そこから去る時にはいつも後ろ髪を引かれる思いだった。だからきっと、次に行く場所も楽しいのだ。
 いずれにせよ、あと一週間ほどで内示される。
 もちろん、どきどきしている。とても心地よい、どきどきだ。
 次は、どこに行くのだろうか。

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