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三文文士・周木律
47 京都について
実は、京都があまり好きではない。
のっけからイヤな発言で誠に申し訳ない。そして、こんな言い方をすると京都の方に怒られるわけだが、これはあくまで僕の私見だということで、是非ともご了解をいただきたい。
僕が京都をあまり好きではない理由、それは、あそこがやはりスゲエ場所だからである。
以前書いたのだが、僕は江戸っ子の気質を持っている。そもそも父親が江戸っ子なので、必然的に引き継いでしまっているわけなのだが、この江戸っ子気質というのは、伝統的かそうでないかでいえば、そうでないほうに属すると思われる。
これは良く言えば「好奇心がある」ということなのだが、悪く言えば単に「いい加減」だということである。これまでがどうだったかなんか別に気にしない、自分の好きなようにやる、過去の遺産なんか知らん、そういう態度である。
この点、京都というのは、やはり伝統的で、これまでの積み重ねがさまざまな厚い地層となり美を形作る土地なのだが、そういうものにいい加減気質の僕が対峙すると、いつもこう思ってしまうのだ。
「スゴスギて、僕がいていい場所じゃない」
そう考えると、京都が好きではないという言い方は、ちょっと間違っていたかもしれない。
たぶん、京都にいる僕は、あまりにも場違いさを感じてしまっているのだ。
まあ、とはいえ僕は、そもそも小説界なんつー本来場違いな場所にいるくらいの厚かましさをすでに持ち合わせており、周囲の目も気にせずいい加減な気分で京都に滞在できるといえばできる。
そんなわけで、実は年に一度くらい京都に行っている。
そしてその都度思うのだ。京都はホントーにスゲエ都だ、だからあんまり好きじゃないな、と。
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